研究課題
今年度は、実際の子宮頸がん症例の生検標本を用いて、放射線治療により発現する遺伝子蛋白について解析した。放射線治療前と9Gy照射時に子宮頸部の腫瘍から生検を施行し、免疫組織化学染色を用いて腫瘍組織におけるp53,p73,COX-2蛋白の発現とアポトーシス細胞をin situにて調べた。その結果、治療前にCOX-2が陰性、または、9Gy照射後のp53やp73が陽性である症例において放射線誘発アポトーシスの頻度が高かった。これにより、照射後の早期からp53に応答する経路が機能し、炎症に伴う遺伝子発現とも関連してアポトーシスが生じていることが示唆された。ミスマッチ修復の突然変異を引き起こすMlh1蛋白は、遺伝性非ポリポーシス大腸がんの発症に関わると考えられている。我々は、大腸における慢性炎症と発癌作用の関連を調べるため、Mlh1ノックアウトマウスにおける大腸癌発生の基礎的検討を行った.慢性大腸炎は、Mlh1のステータスが異なる3種類のマウス(Mlh1-/-、Mlh1+/-、Mlh1+/+)に対して硫酸ナトリウム水を飲用水に混ぜることにより発生させた。Mlh1ノックアウトマウス(-/-)では、オスの63%、メスの44%にそれぞれ大腸癌が発生したのに対して、他の2種(Mlh1+/-、Mlh1+/+)では大腸癌の発生は認められなかった。また、硫酸ナトリウム処理を行わなかったMlh1ノックアウトマウスには大腸癌の発生は認められなかった。大腸癌の腫瘍組織における免疫組織化学染色では、p53とiNOSの発現が増強していた。このことから、Mlh1の機能喪失状態における慢性炎症の存在は大腸癌の発がん過程に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
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