研究概要 |
アルツハイマー型認知症のIMP脳血流SPECT-自動ROIによる数値診断- 【目的】脳血流SPECT画像によるアルツハイマー病(AD)診断の精度を向上させる目的で,自動ROIによる数値診断の可能性を検討する. 【方法】AD患者22症例,健常者10例を対象とし,対象者のIMP脳血流SPECT画像を3D-SSP統計画像処理し,血流低下のZスコア画像を作成した.さらに,自動ROIソフトSEEを用いて,各脳回ROI内の平均Z値と各ROI内の変化面積率を求め,各ROI毎にROC曲線をSPSSで作成し曲線下面積(Az)を得た.この結果を元に選択したROI値を強制投入してロジスティック回帰分析を行い,予測確率0.5を閾値として感度,特異度,正診率を求めた.一方,核医学専門医3名に,SPECT断層画像と3D-SSP画像を提示し,AD診断の確信度を5段階で視覚評価させ,ロジスティック回帰分析の結果と比較した. 【結果】Az値が0.8以上の値を示したROIは,上頭頂小葉,下頭頂小葉,角回,縁上回,上側頭回,中側頭回(この6領域を頭頂側頭ROIとする)および後部帯状回であった.これらの領域と中心前回(ADで血流低下が生じない部位)を数値診断用のROIとした.頭頂側頭,後方帯状回,中心前回の3つのROIによる判別が最も正診率が高く,93.8%となった.感度は95.5%,特異度は90.0%だった.また,そのときの各ROIのオッズ比は,それぞれ1.89,1.39,0.78だった.ロジスティック回帰分析で正しく判別できなかった偽陽性1例,偽陰性1例は,視覚評価で正しく診断された.他方,視覚評価でADあるいはどちらともいえないと判定された4例は,ロジスティック回帰分析で正しく診断された. 【結論】ROIとロジスティック回帰分析を組合せた数値診断は,ADらしさが数値的に示され補助診断法として有用であるが,完全ではなく,ROIの形状など改善の余地があると考えられた.
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