| 研究概要 |
【背景と目的】脳血流SPECT画像によるアルツハイマー病(AD)診断の精度を向上させる目的で,数値的画像診断の可能性を高めるべく,因子分析法を応用発展させた因子得点加重加算法(仮称,以下因子得点加重加算法と記載)を昨年度までに開発した,今年度は昨年度に続き,因子得点加重加算法に関する検討を行った.
【方法】健常者(NC)19例,AD患者22症例, MCI (mild cognitive impairment)患者25症例を対象とし,対象者のIMP脳血流SPECT画像について3D-SSP統計画像処理を行った.3D-SSP処理で得られる脳表内外側面の画素値を用い, NC&AD, NC&AD, AD&MCI,NC&AD&MCIのデータセットを対象に平均値で正規化したデータを因子分析した.また,昨年度因子得点加重加算法を用いて数値診断を行ったMCI患者25症例について視察による画像診断所見と対比を行うとともに3年間の追跡調査結果の判明した10例について因子得点加重加算法の結果と比較した.
【結果】上記のデータセットの因子分析画像で,アルツハイマー病とMCIにおいては,後部帯状回,楔前部,頭頂側頭連合野,前頭連合野における脳血流の変動が共通する因子スコア画像として得られ,ADとMCIの類似欧が確認された.また,MCI患者25症例について因子得点加重加算法を用いて数値診断したところ,25例中21例で視察による画像診断の結果と一致し,3年間の追跡調査結果の判明した10例のうち8例が因子得点加重加算法で正しく診断されていた.
【結論】多変量解析を応用した因子得点加重加算法はADの画像的特長を正しく捉えており, MCI段階での早期診断に役立つ可能性が示唆された.
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