研究概要 |
【治療方法】 全例に術前Duplex検査を施行し、大伏在静脈不全による下肢静脈瘤であることを確認した上で大伏在静脈のマッピングを行った。TLA (Tumescent Local Anesthesia)下に膝上の大伏在静脈を小切開より露出し、ガイドワイヤ越しにカテーテルを鼠径部まで進め、レーザーチップを挿入した。波長1320nmのNd: YAGレーザー装置(CoolTouch CTEV^<TM>; CoolTouch Corp.,Auburn, CA, USA)を用いて、大伏在静脈を内腔より焼灼した。 【対象症例】 現在までに27症例31肢(男性9名、女性18名、平均年齢55歳[32〜83歳])の原発性下肢静脈瘤を治療した。CEAP分類では、C2(下肢静脈瘤)が17肢、C3(浮腫)が6肢、C4(静脈疾患に基づく皮膚病変)が6肢、C6(静脈疾患に伴う活動性潰瘍)が2肢であった。大伏在静脈本幹の蛇行の強い症例は、カテーテルが通らないため除外した。 【治療結果】 全例で、大伏在静脈は治療直後閉塞しており、1ヶ月後のDuplex検査でも閉塞が確認された。2例では3ヶ月後のDuplex検査で、大伏在静脈の中枢側が部分的に再疎通していたが、大伏在静脈の逆流の再発は認めていない。 【合併症】 術後1ヶ月、3ヶ月後のDuplex検査では深部静脈血栓症の合併は認めていない。2例で大伏在静脈に沿った皮下出血を認めたが、1ヶ月後の診察までには自然に消滅した。歩行時の大腿部のひきつり感を6人の患者が訴えたが、全例自然に軽快した。大伏在静脈露出時に、伏在神経が剥離された1症例では、術後に軽度の知覚異常を伏在神経の支配領域に認めたが、3ヵ月で消失した。 【結語】 1320nmレーザーによる下肢静脈瘤治療の短期成績は良好で、今後、中長期成績の確認が必要である。
|