研究概要 |
【対象】伏在型下肢静脈瘤50例53肢(男:女=11:39、平均年齢56歳)。 【治療】全例に術前Duplex検査を施行し、大伏在静脈のマッピングを行った。TLA (Tumescent Local Anesthesia)下に膝上の大伏在静脈を小切開より露出し、ガイドワイヤ越しにカテーテルを鼠径部まで進め、レーザーチップを挿入した。波長1320nmのNd : YAGレーザー装置(CoolTouch CTEV^<TM>;CoolTouch Corp.,Auburn, CA, USA)と専用のpull back装置を使用して、5Wの出力で焼灼した。 【超音波検査】術後2日・1週間・1・3ヶ月に施行し、GSVの閉塞形態をSFJと血栓先端との関係からType I-IVに分類した。Type I:血栓先端とSFJの間隔が5mm未満。Type II:血栓先端とSFJの間隔が5mm上で分枝がない。Type III:健常な分枝がある。Type IV:不全分枝がある。 【結果】平均手術時間は43分、照射GSV長は41±7cm、平均照射エネルギーは61±22J/cmであった。GSV閉塞率は術後1週間で52/53肢(98.1%)、術後3ヶ月では33/36肢(91.7%)であった。術後1週間でのGSVの閉塞形態はType I・II・III・IV=4・3・44・1でType IIIが全体の84.6%と最も多かった。術後1ヶ月、3ヶ月後のDuplex検査では深部静脈血栓症の合併は認めていない。2例で大伏在静脈に沿った皮下出血を認めたが、1ヶ月後までには自然に消失した。歩行時の大腿部のひきつり感を6名が訴えたが、全例自然軽快した。大伏在静脈露出時に、伏在神経が剥離された1症例では、術後に軽度の知覚異常を伏在神経の支配領域に認めたが、3ヵ月で消失した。 【結語】1320nmレーザーによる下肢静脈治療の中期成績は良好で、今後、長期成績の確認が必要である。
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