研究概要 |
生体部分肝移植は脳死肝移植と比較し、移植される肝臓が小さい(Small-for-size graft)ことに起因する術後管理の難しさがある。肝障害がある場合には、肝臓でのアミノ酸利用の低下、末梢組織における生体蛋白の異化亢進による血漿遊離アミノ酸の著しい変動がある。その特徴として、分岐鎖アミノ酸以外のすべてのアミノ酸が増加し、その結果Fischer比(分岐鎖アミノ酸/芳香族アミノ酸)は低下する。 研究にて使用する^<13>Cフェニルアラニン呼気試験は、芳香族アミノ酸であるフェニルアラニンの主要な代謝部位は肝臓であり(全体中の70〜80%)、その血漿中濃度は肝細胞機能に依存していることを利用することで肝でのアミノ酸代謝機能を評価することに有用であると考えられる。 本研究により、生体部分肝移植術後急性期の患者において、^<13>Cフェニルアラニン呼気試験を用いて肝でのアミノ酸代謝機能を経時的に評価することが、経腸栄養開始の是非・タイミング・投与製剤の量と組成を選択する重要な指標となると考えられる。 術後急性期(0日目〜7日目)において集中治療室にて人工呼吸管理されているグループを対象とした。術後0,1,3,5,7日目、コントロールとして99%濃縮の^<13>Cにて標識したフェニルアラニン投与前に呼気を採取し、生理的食塩水100mlに溶解された^<13>Cフェニルアラニン200mg/Body Surface Areaを移植手術中に作成した経腸チューブより投与し、投与後10・15・20・30・45・60・90・120分後にそれぞれ呼気を採取し、基礎データを解析した。
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