研究課題
免疫寛容患者のフローサイトメータのレベルで増加の見られたγδ細胞の一分画であるVδ1細胞の受容体の塩基配列を調べた。その結果、ある特異的なclonalityがみられた。しかし、健常人や、免疫寛容の状態にない移植後患者において、同様の検討を行ったところ、このような特異なclonalityは認めず、これは免疫抑制患者に特徴的な所見であることが判明した。このことから、移植後、免疫寛容状態になった患者の血中にある特異的な抗原を認識し増殖したVδ1細胞が存在しそれが免疫寛容状態に関与していると考えられた。従って、このような抗原を認識する特定のVδ1細胞を培養し患者に移入すれば、免疫寛容を積極的に誘導できる可能性がある。免疫寛容の成立した患者のδ1タイプのγδ細胞の受容体は特定の塩基配列をしていることが判明したことから、現在δ1タイプのγδ細胞の増殖にかかわるγδ受容体の塩基配列を調べ、その一次構造を決定した。受容体の一次構造を決定後、白血病の細胞に決定されたγδ受容体(δ1タイプ)を発現させ対応抗原のスクリーニング系を樹立した。現在、さまざまな抗原と反応させることにより、白血病細胞が増殖する対応抗原を同定中である。この、研究により対応抗原が同定されると、試験管内でのVδ1細胞を培養が効率よくできるだけではなく、体内でVδ1細胞を増殖させる薬剤、すなわち免疫寛容誘導剤の開発へとつながる可能性がある。
すべて 2005
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Transplant Proc 37
ページ: 37-39
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