研究課題/領域番号 |
17591342
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
中村 公紀 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (80364090)
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研究分担者 |
山上 裕機 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20191190)
岩橋 誠 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (70244738)
堀田 司 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (50244744)
松田 健司 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (30398458)
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キーワード | 樹状細胞 / ユビキチン / アデノウイルスベクター |
研究概要 |
本研究では,消化器癌において発現頻度の高いヒト腫瘍抗原CEAの遺伝子とユビキチン(Ub)遺伝子の融合遺伝子をヒトDCにアデノウイルスベクターを用いて導入し,このDCで誘導したCTLの抗腫瘍効果を検討した。 1 プロテアソームインヒビター(MG132)によるCEA蛋白分解抑制効果 DC-AxCACEAとDC-AxCAUbCEAのFACS解析および免疫染色によるCEAの発現を検討したところ、DC-AxCACEAで強発現であったが、DC-AxCAUbCEAでは発現は微弱であった。一方で、MG132で処理したところ、両者ともにCEAは強発現していたことから、UbCEAの融合遺伝子ではCEAのプロテアソームによる蛋白分解が促進されていることが示唆された。 2 in vitroでのCTLの誘導 DC-AxCACEAとDC-AxCAUbCEAをそれぞれstimulatorとし、responderをwhole PBMCとして3回刺激でCTLを誘導した。Targetとしてautologous EBV-LCLを用いた。細胞傷害活性の検討は51Cr遊離試験でおこなった。結果は両者で細胞傷害活性に有意差は認めなかった。この結果はアデノウイルスベクターによる蛋白発現そのものが亢進しており、複数回刺激することでUbCEA融合遺伝子による抗原提示の増強効果が消滅する可能性が考えられた。そこでDCによる刺激を1回のみとしたところ、DC-AxCAUbCEA群で細胞傷害活性が増強される傾向がみられた。 3 INF-γ産生能の比較 CTLからMACSでCD8^+T cellをソーティングし、DC-AxCACEAとDC-AxCAUbCEAと反応させたところ後者において有意にINF-γの産生量が増加した。結果としてUbCEAの融合遺伝子ではCEAのプロテアソームによる蛋白分解が促進され、MHC class I拘束性の抗原提示を増強していることが示唆された。今後、このシステムを用いた癌ワクチン療法の臨床応用が期待される。
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