研究概要 |
目的)甲状腺未分化癌は、いかなる集学的治療法に対しても抵抗性であり、ほとんどの症例が1年未満の短期間で死に至る。未分化癌の治療には、殺細胞効果を狙った従来型の治療法ではなく、細胞生物学的特徴を把握し、効果的な標的分子を攻略する新しい分子標的治療法の開発が必要である 本研究課題では、(1)Chk1選択的阻害剤UCN-01が甲状腺未分化癌細胞株に対して与える影響とその分子機構を、細胞周期・DNA傷害の面から解析する。さらに臨床応用を目的として、(2)至適投与用量、至適投与期間、併用治療法の可能性についてもin vitro、in vivoの前臨床試験を行う. (方法)(1)培養細胞を用いたG2M check pointに関わる遺伝子異常の解析 1.発現解析:細胞周期、apoptosisシグナル伝達系に関わる蛋白49種類のWestern blottingをhighthrough put Western blotting(PowerBlot, BD Biosciences)で行う. 2.リン酸化解析:抗リン酸化Chk1抗体(Ser 280,317,345)を用いて,immunoprecipitation(IP)-Western blottingでリン酸化状態を解析する. 3.殺細胞効果についてはATP assayを行う. (結果) UCN-01は著明にChk1のリン酸化を阻害した. 強力な殺細胞効果が確認された. 原発性甲状腺癌および培養細胞株におけるChk1の変異は確認できなかった. さらに、Chk1の発現抑制に関連して複数のmicroRNAの変動が確認され、なかでもmiR-138の発現は細胞周期関連蛋白質の発現との相関を認めた。さらにmiR-138はBCL6の発現抑制に関与しており,Chk1の機能にも何らかの影響を与えている可能性が示唆された. (今後の方向性) UCN-01単独は培養細胞株において甲状腺末分化癌に対しても,著明な殺あることが示された.加えて,miRNAの発現制御を介した
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