研究課題/領域番号 |
17591346
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
神野 浩光 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20216261)
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研究分担者 |
嶋田 俊之 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80342658)
菅家 大介 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00365272)
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キーワード | 乳癌 / MPCポリマー / paclitaxel / ターゲッティング療法 |
研究概要 |
上皮増殖因子受容体(EGFR)の過剰発現は乳癌の約20-30%に認められ、過剰発現癌群の予後は不良である。MPCポリマーは疎水性物質を安定的に内包することができる水溶性高分子物質であり、難水溶性抗癌剤Paclitaxelのトランスポーターとして有用であり、EGFを結合させることにより、EGFR過剰発現細胞株に対して殺細胞効果が増強することについては既に報告してきた。今回担癌マウスにおける抗腫瘍効果について検討した。 扁平上皮癌細胞株(A431)10<SUP>6</SUP>個をヌードマウス(balb/c nu/nu)の側腹部皮下に注入し、腫瘍径が5mm以上となった時点で試薬投与開始とした。投与するPaclitaxel量は15mg/kgとし、EGF結合Paclitaxel封入MPCポリマー、EGF非結合Paclitaxel封入MPCポリマー、Paclitaxel、生理食塩水をそれぞれ5日間連続腹腔内投与し、それぞれの抗腫瘍効果について比較検討した。 投与開始日より21日目における腫瘍抑制率は、コントロール群を対照とした場合、EGF結合Paclitaxel封入MPCポリマー群で94.7%、EGF非結合Paclitaxel封入MPCポリマー群で70.4%、Pac1itaxel群で62.9%であり、EGF結合Paclitaxel封入MPCポリマーはEGF非結合Paclitaxel封入MPCポリマーに比して有意に抗腫瘍効果が高かった(p<0.05)。またいずれの群においても、体重減少などの副作用は認めなかった。 EGF結合Paclitaxel封入MPCポリマーは、EGFRを標的とした新しい癌治療となる可能性が示唆された。
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