研究概要 |
乳癌のリンパ節癌微小転移の有無は臨床的に癌の手術法を決定することで重要な問題である。しかし病理学診断は連続切片の作成に膨大な時間と労働力を要すため検討すべき課題は多い。そこで定量化が可能なReal-time(quantitative)PCRとフローサイトメトリー(FCM)とを用いリンパ節癌微小転移を検討した。リンパ節癌微小転移の判定は病理学において診断されるが、リンパ節全体像の観察が困難なため、検出感度を低下させる。そこでリンパ節全体を測定するReal-time PCRとFCMを用いて極めて少量の癌を高感度に証明する診断法を確立する(0.2立方mm以下の微小癌転移の証明)。さらに迅速に測定できるFCMでリンパ節微小癌転移を短時間に判定し迅速診断法を確立する。様々な乳癌培養癌細胞と正常リンパ球細胞を種々の比率(1×10^<2~8>個の検体細胞に対して癌細胞が1個)で混和させたものと凍結されたリンパ節を溶かした後、そこに1立方mmに細切した癌組織を様々な比率で混ぜる。Real-time PCRは、CEAとサイトケラチン(17や19など)、BRCA1,BRCA2,β-HCGを指標とし細胞からDNA,RNAを抽出し、β-アクチンを指標とし検量線を作成し解析をした。正常リンパ球を陰性コントロールとし、FCMとReal-time PCRで解析した。乳癌培養癌細胞MCF-7と正常リンパ節細胞を種々の比率で混和した。細胞を70%エタノールで-20℃、30分間固定し、PBSで遠心洗浄した後、FITC標識抗サイトケラチンモノクロナル抗体(MNF116)を室温で1時間、反応させた。PBSで遠心洗浄した後、RNase AとDM染色色素Propidium Iodide(PI)を含むPBSに細胞を再浮遊させ、フローサイトメトリーにて解析をした。横軸がPI蛍光(DNA量)、縦軸がFITC蛍光(サイトケラチン量)のドットプロット表示で測定した。
|