研究課題/領域番号 |
17591379
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
唐子 尭 (唐 偉) 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (00313213)
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研究分担者 |
幕内 雅敏 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60114641)
國土 典宏 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (00205361)
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キーワード | 胆管細胞がん / 病態学 / 糖鎖 / ムチン / 複合糖質 / 組織化学 / 腫瘍マーカー / 診断 |
研究概要 |
胆管細胞がん(CCC)は、画像診断の進歩による発見率の向上に伴い術後生存率も向上しつつあるが、肝細胞がん(HCC)との判別が容易でない症例が多いことや、その他のがんに比較して早期診断や予後診断に有用な腫瘍マーカーの開発に大きく立ち後れている。我々は、これまで、CCCおよびHCC組織における糖鎖分布を調べ、CCC組織において特異的に発現するムチン分子種を突き止めた。そこで本研究では、CCCにおけるこのムチン分子種の臨床的意義を、組織化学的および血清学的手法を用いて調べた。まず、CCC患者20例、HCC患者56例およびCCC/HCC混合型患者10例におけるがん部および非がん部組織におけるムチン分子種の発現を組織化学的に解析した結果、いずれの症例においても、このムチン分子種はCCCがん部で陽性、非がん部で陰性を示し、HCCではがん部、非がん部とも陰性を示した。対照的に、Hep-1はCCCがん部で陰性、非がん部で陽性を示し、HCCではがん部、非がん部とも陽性を示した。この結果は、このムチン分子種がCCCとHCCの組織化学的な識別に有用であることを示しており、実際、CCC/HCC混合型では、このムチン分子種がCCC領域の判定に有用であった。また、各患者の血清中レベルをELISAで測定したところ、このムチン分子種の血清中レベルは健常人およびHCC患者のそれと比較してCCC患者で有意に高く(p<0.0001)、CCCの検出に関するROC解析においても、AUCは健常人に対して0.947、HCC患者に対して0.929と高い値を示した。以上の結果は、このムチン分子種が、HCCとの判別が困難なCCCの検出において、組織化学的にも血清診断学的にも優れていることを示しており、CCCの診断に関わる新規腫瘍マーカーの候補として期待できることを示唆している。
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