研究概要 |
食道癌では食道内の癌多発傾向と頭頚部領域を中心とする癌重複の多いことが良く知られており,早期食道癌の内視鏡治療後例では局所の癌再発,食道内新病変,頭頚部領域癌,胃癌の早期発見などを目的にして,定期的な内視鏡によるサーベイランスを行う必要がある.本研究の目的は,緑茶カテキンによる食道および頭頚部領域の癌化学予防効果の検討と,同領域の前癌病変への影響を見ようとするものである. 早期食道癌の治療後経過観察中の患者から,緑茶カテキン錠服用でき,かつInformed Consentにより本研究に参加を希望する患者を選択した.多くの患者がField Cancerizationに関する何らかの対策を希望しているが,事務上の問題もあり,平成17年度は予備調査からの継続15例での検討を行った. 観察と組織採取のための内視鏡検査を行い,診療録と本研究登録例用の記録用紙に所見を記入した.検査の頻度は原疾患の状況に基づくものとし(通常は3-6カ月毎に検査),最低6カ月に1度の内視鏡検査を行い,癌および異形成粘膜の出現,変化を記録するとともに組織の採取を行った.頭頚部,食道領域における新病変(癌および異形成粘膜)の出現を観察するとともに,他臓器の癌出現にも留意し,前立腺癌が新たに発生した1例では検討を終了とした.現在までの短期観察では緑茶カテキンによる有意な癌抑制効果を評価するのは困難で,当初の計画通り検討を続行する予定である.
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