研究概要 |
gefitinib感受性細胞株(GLM-1)にGFP遺伝子を導入し、腹膜微小転移を高感度かつ簡便に検出できるヌードマウスの腹膜微小転移モデルを新たに確立した。またgefitinibはこれまでマウスでは経口投与のみが可能であったため併用療法は腹腔内投与に限られていたが、可溶化したgefitinibの腹腔内投与法を試み、本投与法が経口投与に匹敵する抗腫瘍効果を発揮することを見いだした。これにより抗癌剤の経口投与との併用も可能となった。5-FU系の経口投与、paclitaxelの腹腔内投与との比較において、gefitinib単剤、抗癌剤との併用、sequential投与の効果を評価中である。 GLM-1細胞を培養下においてgefitinibに暴露、耐性株(GLM-1 R)を分離し、その耐性機構を解析した。耐性株ではgefitinibにより遮断されるPI3K/AkT経路のバイパスとしてEGFRの発現が亢進し、その下流のras/MAPK経路が代償性に活性化されていることを明らかにした。実際、耐性株をgefitinibとMAPK経路の阻害剤であるMEKI(U0126)の両者で処理するとgefitinib単独に比べアポトーシス誘導が増強された。現在、in vivoでの併用効果を確認中である。 GLM-1およびそのgefitinib耐性株GLM-1Rのnude mouse皮下に作成したxenograftおよび単離細胞を用いて、CD-DST法でgefitinibの感受性試験を行った結果、低感受性株、高感受性株のIC50値は,8μM/mL,0.01〜0.02μM/mLであった。そこで、ヒト胃癌外科切除標本を材料に感受性試験を行うに際し、0.0001〜10μM/mL,まで5段階の濃度のgefitinibに接触させた。7検体でCD-DST法による感受性試験をおこなったところ、1例で10μM/mLにおいてT・C値50%未満の感受性が確認された。
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