研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、DNAチップが持つ技術面、金銭面での問題点を改善し、これまでにわれわれが培ってきたcDNAマイクロアレイのノウハウを基に一般臨床への汎用化により、内視鏡下生検標本を対象とした個々の癌の生物学的特性に対応した体系的診断・医療を実践化することである。これまでに、ヒト全遺伝子に対して特異的配列をもったオリゴDNA(30000種類)を搭載したヒト全遺伝子型DNAチップを用い200例以上の大腸癌の遺伝子発現情報を取得し、転移・再発予後・再発形式の予測診断システムを確立するとともに、それぞれ関連遺伝子群の同定を行っている。具体的には、1)平成17年度より術前内視鏡標本とその隣接生検病理情報、および手術切除標本と臨床病理学的情報を集積し、2)収集された大腸癌切除標本からmRNAを抽出し、超微量mRNA分析用マイクロラボチップによるquality checkを行なった上で、target DNA(臨床検体)の調整を進め、3)予備検討により決定されたプロトコールに従い一定条件下でヒト全遺伝子型オリゴDNAチップおよび臨床診断用DNAチップによる遺伝子情報を取得し、予測モデル式を構築しその精度を検証した。現在までに同一症例の腫瘍と正常部分から採取された2ヶ所の生検標本の解析より、腫瘍内組織不均性は腫瘍間組織差異より小さく、一ヶ所の生検でその腫瘍の代表的遺伝子発現プロファイルを取得できること、また正常、腺腫、癌の違いはほぼ完全に判別可能であることがわかった。
すべて 2006
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