研究課題
ATAC-PCR(adaptor-tagged competitive PCR)を用いて、肝細胞癌240検体(肝細胞癌120例、非癌部86例、正常肝非癌部32例)の、網羅的遺伝子発現解析を実施し、非癌部正常部において発現が低く、癌部において発現が高い遺伝子として、MMP12(matrix metalloproteinase 12)、GPC3(Glypican3)等を抽出した。MMP12について免疫組織学的染色を行ったところ、肝細胞癌については10例中10例において高発現を認め、非癌部では弱陽性であった。一方他の組織においての発現は、食道では、癌部10例中2例で陽性、非癌部10例中10例で陰性、胃では、癌部10例中1例で陽性、非癌部10例中10例で陰性、大腸では、癌部、非癌部ともに10例中10例で陰性であった。以上の結果からMMP12は、新たな肝細胞癌のマーカーとなる可能性が示唆された。次に、特異的な50merの塩基配列を設計したヒト全遺伝子型DNAチップ(約30000種類搭載)を用い、ウイルス感染のない7例の正常肝から抽出したmRNAのmixtureをcontrol referenceとして、肝細胞癌100例の網羅的遺伝子発現解析を実施した。肝細胞癌の癌部で12遺伝子が共通して1.5倍以上発現亢進していた。無作為に選んだ10例を対象として、それぞれ定量的RT-PCRを行い、GPC3を含む10遺伝子に有意な相関が認められ、特にstageが高い症例ではその傾向は強くなった。GPC3と肝細胞癌にて未報告の遺伝子2つに対して免疫染色を行った結果、いずれも癌部での発現亢進が認められ、新たな肝細胞癌のマーカーとなる可能性が示唆された。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (5件)
Oncol Rep 15(2)
ページ: 401-408
J Gastronitest Surg 2006 10(7)
ページ: 987-998
Liver International 26
ページ: 414-423
J Gastroenterol 10(1007)
ページ: 1120-1125
Hepatology Research 35
ページ: 289-295