健常人末梢血約100mlから単核球分画を分離し、GM-CSF(50ng/ml)とIL-4(50ng/ml)を用いて6日間培養して未熟樹状細胞が誘導できることを確認した。また、TNF-α(25ng/ml)、PGE2(1μg/ml)を用いて成熟させ、フローサイトメトリーを用いてHLA-DR、CD80、CD83、CD86マーカーを解析、樹状細胞であること、および成熟機能を保持していることを明らかにした。hTERT遺伝子発現プラスミドを大腸菌にトランスフォームした後に増幅し、遺伝子導入に十分なプラスミド量を確保した。HLA-A2/A24の健常人末梢血から未熟樹状細胞を誘導し、hTERT遺伝子発現プラスミドをリポフェクタミンを用いてtransfectionした。また、遺伝子導入クローンを確認するために、GFP遺伝子発現プラスミドをco-transfectionした。GFP陽性細胞を経時的に観察したが、導入効率は極めて低く、何らかの工夫が必要と思われた。そこで、導入効率を改善するために遺伝子導入手法をエレクトロポレーション法に変更した。エレクトロポレーションの至適条件の検討の後に、同様にhTERTおよびGFP発現プラスミドをco-transfectionし、プラスミドはネオマイシン耐性遺伝子を含んでいるため、ネオマイシン・アナログのG418でselectionを行った。初期遺伝子導入効率はやや改善されていたが、GFP陽性細胞の増殖は確認できなかった。hTERT遺伝子導入にもかかわらず樹状細胞の増殖が認められないことから、hTERT遺伝子導入による不死化のみでは自己増殖能を有した樹状細胞は得られないと推測される。hTERT遺伝子発現に加え、さらなる増殖シグナル刺激が必要と考え、ヒトパピローマウイルスのE6/E7遺伝子を追加導入することで、樹状細胞のクローン化を目指す。
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