研究課題/領域番号 |
17591404
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
池田 聡 広島大学, 病院・大学院医歯薬学総合研究科, 寄附講座教員 (60397924)
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研究分担者 |
岡島 正純 広島大学, 病院・大学院医歯薬学総合研究科, 寄附講座教員 (90274068)
浅原 利正 広島大学, 病院・教授 (70175850)
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キーワード | 便検査 / APC / MCR / stop codon / 酵母 / URA3 / 5FOA |
研究概要 |
本年度は(1)便検体からのDNA抽出、APC MCP(Mutation Cluster Region)のPCRによる増幅、(2)negative、positive controlの作製、および(3)vectorへの導入効率の向上、酵母の形質転換効率の向上を目的に研究を実施した。 (1)糞便中には多量のPCR阻害物質が含まれている。これはキットを用いある程度除去しDNA抽出することができたが、PCRでのAPC MCR増幅については、残存するPCR阻害物質のため上手く増幅できなかった。primerの設定、塩濃度等を変更し効率のよい増幅が可能となった。また、後述するようにAPCを2分割することにより、さらに目的遺伝子の増幅効率が向上した。 (2)まずURA3(+)vectorを構築した。pRS-GAL1-MYC-BSという酵母用vectorでMYCの下流にURA3遺伝子を導入した。これを大腸菌を用いて増幅し、酵母<w303(MAT A)>を形質転換させ5FOA培地でのコロニー形成を確認した。予定通りURA3(+)vectorで形質転換した酵母は死滅し、pRS-GAL1-MYC-BS<URA3(-)>で形質転換したものはコロニー形成を認めた。このURA3(+)vectorに健常ボランティアリンパ球由来正常APC MCR、SW480細胞株由来変異APC MCRをMYCとURA3の間に導入し、negative、positive controlを作製した。前述の検討と同様に酵母を形質転換させ、機能的な確認を行なった。正常APC MCRの含まれるnegative controlはURA3蛋白が発現するため死滅し、変異APC MCRが含まれるpositive controlは、APC MCRの途中にstop codonがあるためURA3蛋白は発現せずコロニー形成が可能であった。この蛋白の発現をwestern blotを用いて確認したところ(抗MYC抗体)、前述の結果を裏付ける結果となった。 (3)negative、positive controlは作製できたがvectorへの導入効率は低かった。そこでinsertとなるAPC MCR(約700bp)を2分割(約450、350bp)し、insert濃度を上げ導入効率は向上できた。さらに酵母の形質転換効率は1%前後と言われており、plasmid量はμgオーダーで必要であるため、vectorへ導入したものを直接形質転換するのではなく、大腸菌で増幅し形質転換を行なうことで形質転換効率の問題を解決した。 最終年度の来年度は検出感度の数字化、実際の担癌者検体を用いた検査とその組織との整合性などについてさらに検討を進めたい。
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