研究概要 |
膵腫瘍の中でIntraductal papillary mucinous neoplasm(IPMN)は比較的予後の良いカテゴリーに入るが、一旦浸潤癌となれば通常型膵癌と同様にその予後は極めて不良である。これまでに腫瘍径、壁在結節の大きさ、細胞診などを手がかりに手術適応の決定が試みられてきたが、充分な成果が得られていないのが現状である。 最近申請者らは膵液中のmRNAを定量解析することで癌関連遺伝子を正確かつ迅速に同定することに成功し、以下の研究が行える環境が整ってきた。本研究の目的は(1)外科切除材料を用いてIPMN内の早期癌病巣の存在診断に有用な癌関連遺伝子を同定し、その後に(2)膵液から癌細胞のみを抽出し(1)で同定した癌関連遺伝子が有意に上昇しているかを検討することで臨床的にIPMN内に癌病巣が存在するかどうか確認できる診断法を確立することである。 これまでに癌関連遺伝子の候補としてMUC1,MUC4,MUC5AC,MUC6とS100 familyに関するpreliminaryな実験を行い、臨床応用可能なgradeのprimerは設計済みである。しかしながらこれだけでは充分とはいい難く更に候補遺伝子を追加してprimerを設計する必要がある。現在、マイクロアレイを用いたこれまでの報告等を参考にPKM2、PFN1、MSLN、SERPINB5、FUT8、SH3BGRL3、COPE、TM4-C、Stratifn、PGC、MIA、IGFBP2、PYGB、RPL11などの遺伝子に対するprimerを作成しつつある。 一部のプライマーを用いて当研究室で保有する15種類の膵癌細胞株(Panc-1,Suit-2,BxPC3,Mia PaCa-2,ASPC-1,Capan-1,Capan-2など)でmRNAレベルを解析中である。
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