研究概要 |
マイクロダイセクションによるmRNA,DNA抽出効率の改善に関する検討 凍結標本よりマイクロダイセクションによる遺伝子(DNA,RNA)の抽出と増幅(井上) 平成17年度は大腸癌10例、食道癌30例の凍結標本よりマイクロダイゼクションにより腫瘍(表層部、浸潤部)、間質に弁別した遺伝子(DNA,RNA)の抽出を行い質のよいRNA,DNAを抽出した。核酸の品質は総じて良好であった。 マイクロアレイ解析(井上) (1)質のそろったRNAが得られた食道癌30例、大腸癌10例、肝臓癌では7例にマイクロアレイ解析を行った。多段階発癌を示すと考えられる部位を詳細にマイクロダイゼクション法により切り分け、その組織学的分化度に一致するRNAマイクロアレイプロファイリングを得ることが可能であった。一部の遺伝子については、その発現産物蛋白に対する抗体を用いて、発現解析を裏付けるデータを得た。 (2)DNAレベルではBACアレイによる全グノム解析をまず行ったところ、食道癌では8p,11q,17p等々において従来以上の精度でゲノムの増幅、欠失が生じていることが示された。食道癌30例においてその欠失・増幅パターンは極めて類似度が高く、これは大腸癌とは異なっていた。 平成18年度は (1)RNA・DNAレベルを同一サンプルで評価することを目標とする、全ゲノムマップ上において40000遺伝子の遺伝子発現パターンと遺伝子ゲノム変異を同時にマッピングする。 (2)癌の多様性を示す病理学的部位ごとのサンプル採取は順調に進んでいるので、この多様性に関与する様々な遺伝子あるいは遺伝子群を抽出することを本年度の目標とする。
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