研究課題/領域番号 |
17591420
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
桂巻 正 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (50253993)
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研究分担者 |
平田 公一 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50136959)
水口 徹 札幌医科大学, 医学部, 講師 (30347174)
木村 康利 札幌医科大学, 医学部, 講師 (80311893)
永山 稔 札幌医科大学, 医学部, 助手 (40398326)
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キーワード | 肝硬変 / 線維化 / 一酸化窒素 / 誘導型一酸化窒素合成酵素 / 線維化抑制療法 |
研究概要 |
われわれは従来にない肝線維化抑制方法を開発することを目的として、一酸化窒素(NO)に注目し、経口型誘導型NO合成酵素阻害剤を投与することで肝線維化を抑制することが可能であるかをラット肝硬変モデルにおいて検討した。「方法」肝硬変モデル作成:体重200gのラットにThioacetamide(TAA)を200mg/kgの用量で週に2回腹腔内投与し、12週間投与することで肝硬変を作成した。NO合成酵素阻害剤は藤沢薬品工業より誘導型NO合成酵素阻害剤(FR260330)を供与していただいた。FR260330は32mg/kgの用量で1日2回、連日経口投与した。実験群は(1)TAA単独群:TAAのみ投与(n=7)、(2)TAA+FR投与群:TAAとFRを投与(n=8)。12週目に犠牲死させ、肝重量、脾重量を測定。肝組織の一部を凍結切片とホルマリン固定で保存し、組織学的検討(HE染色、Azan-Malloty染色)、免疫組織学的検討(iNOS染色、TGFβ1染色)を施行した。「結果」TAA群では全例肝硬変となって肝萎縮を認め、腹水の貯留と脾腫も認めた。TAA+FR群ではTAA群に比して線維化は軽度で肝萎縮程度も僅かであり、腹水、脾腫は認めなかった。線維化の程度を面積比率で割り出すと、TAA群は25.45%であったが、TAA+FR群では9.60%と有意に線維化の程度が低かった。iNOS免疫組織学的検討ではTAA群でiNOS発現を免疫染色で認めたが、TAA+FR群ではiNOS発現が減弱していた。TGFβ1免疫組織学的検討ではTAA群では線維化を起こしている部位にTGFβ1が強く染色されていたが、TAA+FR群では減弱していた。「結論」FR260330投与によって肝硬変への進展を抑制することが可能であった。肝硬変に対する新たな治療法となることが示唆された。
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