研究概要 |
平成18年度までに、本科学研究費補助金により以下の事項を明らかにした。 1.クローン病切除標本において炎症が特に強い部位でマクロファージにチミジンホスホリラーゼ(TP)の発現をTPの抗体及びCD68をもちいて免疫化学染色法により証明した。 2.ヒトリンパ球を血液より単離し、インターフェロンガンマによりTPを誘導しその際にIL-8,TNF-a, IL-18などの組織障害性サイトカインが共に誘導されることを確認した。以上の知見より、クローン病におけるTPの病理学的意義を確認する目的でTNBSにより発症可能なクローン病のマウスのモデルを用いて動物実験を行なった。動物組織標本において、免疫組織化学染色法及びインサイツハイブリダイゼーション法によりインビトロと同様に、TPを誘導しその際にIL-8,TNF-a, IL-18などの組織障害性サイトカインが共に誘導されることを明らかにした。更に、TPの酵素活性阻害剤である6アミノ5クロロウラシルが上記のクローン病の発症にどのような影響を与えるかを検討する実験を行なった。その結果、6アミノ5クロロウラシルは部分的にクローン病発症を抑えたが動物毒性が強く死亡例も認められた。 平成19年度の課題として、以下の事項を検討する予定である。 1.6アミノ5クロロウラシル以外のTP阻害剤の動物実験における検証。 2.TPを阻害することによりクローン病が治療の可能性があるので、その阻害機構の検討。
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