研究概要 |
本研究は、クローン病治療体系の確立を行う研究として、チミジンホスホリラーゼ(TP)がクローン病に対しどのような影響を及ぼしているのかを解析するものである。 平成19年度研究成果: 1.クローン病および炎症性大腸炎を発症させたマウスにおいて、チミジンホスホリラーゼ(TP)を阻害する薬剤を使用した動物実験を行った。チミジンホスホリラーゼ(TP)発現モデルに比べ、チミジンホスホリラーゼ(TP)阻害薬剤使用モデルは、クローン病および炎症性大腸炎において、有意にその亢進を抑制することが示された。 2.チミジンホスホリラーゼ(TP)阻害薬剤における作用機構解明のため、TNF-α, IL-1β等の炎症性サイトカインに対しRT-PCR法にて分析をおこなったところ、炎症性サイトカインを抑制する作用があることが明らかとなった。 3.また、チミジンホスホリラーゼ(TP)の発現・抑制に活性酸素が関係しており、活性酸素の抑制に対してチミジンホスホリラーゼ(TP)阻害剤が有効であることを確認した。 4.チミジンホスホリラーゼ(TP)阻害剤下においてミトコンドリア膜電位が減少することを明らかにした。その結果uncouplingにつながり活性酸素の抑制をしているのではないかと推察されれる。 酸素抑制等の相互作用により、結果としてクローン病における亢進が抑制されることが考えられる。これにより新たなクローン病における診断や治療戦略の開発に本研究を生かしたいと考える。
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