大腸癌術後のサーベーランス大腸内視鏡検査で経過観察が可能と判断された6mm以下の大腸ポリープ500病変を研究対象として、本研究は開始された。このうち、412病変で再度の大腸内視鏡検査が実施された。ポリープ径の変化については、不変71%、増大15%、縮小3%、再発見不可11%であった。この臨床データの詳細については、昨年度にDiseases of the Colon&Rectum誌において発表した。遺伝子異常の検討については、これまでに採取した18病変においてマイクロアレイ法により比較検討することを試みてきた。しかしながら、mRNAを抽出することが技術的に困難であり、内外の研究者にコンサルトするなどを行ってきたが、マイクロアレイ法による比較検討は断念せざるを得なかった。このため、本年度は昨年度から引き続いて、経過観察後に切除されたポリープのブロック標本を用いて、病理学的異型度の再評価・MIB-1による増殖能の評価を行った。しかし、残念ながら、公表すべき目立った研究成果は得られていない。さらに、“増大した腺腫"と“腫瘍径に変化のない腺腫"を内視鏡的特徴から鑑別する目的に、ピットパターンを含めた内視鏡所見について検討を行ってきたが、現在進行中であり、これも目立った成果が得られていない状況である。本年度で科学研究費補助金を得ての本研究は終了となるが、これまでの研究成果・経験を土台にして、今後も本研究を継続していく予定である。
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