研究概要 |
オリゴヌクレオチドマイクロアレイ(HuGeneFL array, Affymetrix, Santa Clara, CA)を用いて腫瘍部および健常部の遺伝子発現を解析する。オリゴヌクレオチドマイクロチップのハイブリダイゼーションは,cRNAを含む溶液[40mM Tris-acetic acid (pH8.1), 100mM potassium acetate, 30mM magnesium acetate]中で95oC,35分処理してRNAを変性させた後,200μlの溶媒[0.1M 2-(N-Morpholino) ethanesulfonic acid (MES) (pH6.7), 1M NaCl, 0.01% polyoxylene (10) octylphenyl ether, 20μg herring sperm DNA, 100μg acetylated bovine serum albumin, 10μg fragmented cRNA, biotinylated-control oligonucleotides, biotin-5'-CTGAACGGTAGCATCTTGAC-3']中,45℃で12時間行った。ハイブリダイゼーションの反応後、チップをMES緩衝溶液[0.01M MES (pH6.7), 0.1M NaCl, 0.001% polyoxylene (10) octylphenyl ether buffer]で洗浄し,ビオチン化抗streptavidin抗体と反応させ,streptavidin R-Phycoerythrin (Molecular Probes)染色によりシグナルを増強させた。それぞれのpixelのシグナルをレーザースキャナー(Affymetrix)に取り込み,個々のcDNAの発現をAffymetrix GeneChip ver.3.3およびAffymetrix Microarray Suite ver.4.0 softwareにより算出した。クラスタリング解析はEISEN cluster program (EISEN et al., 1998 PNAS 95;14863)を用いて行った。 ゲル電気泳動により腫瘍部,非腫瘍部より採取した標本のRNAの状態を確認後,検索の対象を選択した。まず,全ての検体を対象としてチップ上の全遺伝子でクラスタリングを施行し,EISENクラスタリングプログラムによって形成されたクラスターは抗癌剤感受性との相関は検討した。さらに個々のmRNAの発現レベルについて腫瘍部での発現レベルより非腫瘍部の発現レベルを差し引いた値を用いてクラスタリングを行った。さらに非腫瘍部検体におけるmRNAレベルの平均値を算出し,この値で腫瘍部検体のmRNAレベルを補正しクラスタリングを行った。 以上の解析により,cisplatin耐性関連遺伝子としてCOX-2,vascular endotherial growth factor, Rb蛋白が,5-fluorouracil耐性関連遺伝子としてthymidylate synthetase, dihydropyrimidine dehydrogenaseが抽出された。
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