研究概要 |
17年度の実績として、ヒト胃がん細胞株であるMKN1,MKN28,MKN45,MKN74,KATOIIIについてFACSによるSP解析を行った。その結果、MKN45で1.5%前後、KATO IIIで1.2%前後の割合でSP細胞が存在することが確認できた。その他の細胞株については確認することはできなかった。次に、MKN45におけるSP細胞、non-SP細胞をsphere formation assayによるsphere形成能を調べた。その結果、non-SP細胞よりSP細胞でより高いsphere形成能を確認することができた。増殖能においてもSP細胞の方が活発であった。SP細胞由来sphere細胞では3ヶ月以上の継代培養が可能であった。造腫瘍性についてSP細胞、non-SP細胞をNOGマウスへの移植において検討を行った。その結果、細胞を10^5個移植したマウスでは、両移植群で腫瘍が形成された。また、未分化マーカーなど各種マーカーの発現については、現在、定量PCR法による解析を進めている。一方、乳腺組織において幹細胞マーカーとしての関与が示されているインテグリンについて発現解析を行ったところ、CD29^+CD49f^+細胞が約0.4%の割合で確認できた。また、高いsphere形成能を有していることも確認できた。しかし、SP細胞ではCD29、CD49fは未発現であった。現在、分化能についても解析中である。 臨床検体(胃がん組織及び正常胃粘膜上皮組織)について、上記と同様の解析を検討している。SP解析においては、同様にSP細胞を確認することができた。Sphere形成能ついていて現在、解析を進めている。 今後、sphere形成性細胞について、分化能や造腫瘍性の解析を中心に調べ、幹細胞活性の高い細胞の腫瘍形成への関与を解析していく。
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