研究概要 |
直腸癌に対する国際的な標準治療である術前の radiotherapy(RT)あるいは chemoradiotherapy(CRT)に対して,downstaging あるいはdownsizing が見られる症例の予後は良好であるため,治療前に感受性が予測されれば個別化治療に結びつく可能性が高い.しかしradiotherapy(RT)あるいは chemoradiotherapy(CRT)に対する感受性予測因子が同一なのか否かは報告されていない.今回T3/T4直腸癌に対して RTを施行した61例と,CRTを施行した 35例を対象に,治療開始前の生検標本のproliferative indexおよびapoptosis関連indexを免疫組織化学的に評価し,術前RTとCRTそれぞれの感受性予測因子としての意義を retrospectiveに検討した.その結果,RTではP53陰性,P21陽性,apoptosis陽性,高分化腺癌が高感受性予測因子であったが,CRTにおいてはapoptosis陽性のみが高感受性予測因子であった.すなわち,RTとCRTの感受性予測因子は異なっていた.RTに UFTを加えたCRTにおいては,P53陽性,P21陰性,中分化腺癌症例の放射線感受性が増加していた.
|