研究課題
虚血に伴う心筋症に対し、生体再生材料としての生体吸収パッチならびに骨髄由来幹細胞を用いた新たな外科治療法の開発を目的として、ラットならびにマウス心筋虚血モデルにおける基礎検討を行った。1)生体吸収パッチを用いたラット左心室瘤外科治療の検討Lewisラットを用いて、左冠状動脈前下降枝結紮による心筋虚血モデルの作成に成功した。このモデルに生じた虚血部位に対して、骨髄細胞を用いて作成した生体吸収パッチを用いて左心室形成術を行う予定であった。しかし、最適なパッチ作成のためには骨髄細胞から確実に心筋細胞を分化誘導させることが必須である。そこで、cell sorterを用いて骨髄細胞から心筋へと分化誘導できる前駆細胞の分画採取を行っているが、現在も確実に心筋を誘導できる分画が得られず、引き続き研究を行っている。2)異所性心移植モデルにおける心筋虚血に対する骨髄前駆細胞治療上記1)により、骨髄細胞から心筋への分化誘導が困難であることから、マウスを用いた腹腔内異所性心移植モデルを作成した。この動物では移植心筋における血流低下により心筋の萎縮ならびに左室収縮不全が見られる。これに対し、血管前駆細胞と考えられている骨髄由来KSL細胞(c-Kit陽性、Sca-1陽性、Lineage陰性)をcell sorterを用いて採取し、それを左室心筋内に直接移植した。心エコー法を用いて治療効果を判定したところ、未治療時に見られた左室冠動脈血流低下ならびに左室内血栓が著明に改善した。また、組織学的には新生血管の増生とともに心筋萎縮の改善が見られた。現在これらの結果を論文にまとめている。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (4件) 図書 (1件)
Innovations 1(6)
ページ: 295-313
ページ: 314-322
CIRCULATION Up-to-Date 1(1)
ページ: 58-63
人工臓器 35(3)
ページ: 405-406