研究課題/領域番号 |
17591467
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中村 隆之 京都大学, 医学研究科, 助手 (50362497)
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研究分担者 |
淀井 淳司 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80108993)
和田 洋巳 京都大学, 医学研究科, 教授 (90167205)
中村 肇 京都大学, 医学研究科, 助教授 (70303914)
上田 修吾 田附興風会医学研究所, 第2研究部, 研究員 (80372580)
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キーワード | 移植・再生医療 / 外科 / ストレス / 蛋白 / トランスレーショナルリサーチ |
研究概要 |
ヒトチオレドキシン(human thioredoxin, hTRX)は、その活性部位の2つのシステイン残基間のジチオール/ジスルフィド交換反応による抗酸化作用を示すほか、抗アポトーシス作用などをもつ酸化還元(レドックス)制御蛋白である。一方、肺移植では脳死例からの臓器提供数が乏しく、心停止ドナーからの肺移植を可能したいところであるが、そこで問題となるのが肺温虚血再潅流傷害である。そこで本研究では、肺温虚血再潅流傷害に対するhTRXの効果について検討するとともに、その至適投与法およびその作用機構の解析を行った。Hugo Sachs Elektoronik社(ドイツ)製ラット肺体外(ex vivo)潅流モデルを用いて、肺虚血再潅流モデルを作製した。遺伝子組み換えhTRX(rhTRX)を吸入あるいは潅流液内投与し、その保護効果について検討した。エアロゾルネブライザーによる吸入投与では、rhTRXは肺虚血再潅流傷害保護作用を示さなかった。一方、350mg/ml rhTRXの潅流液内投与は、肺虚血再潅流傷害抑制効果を示したが、200mg/ml rhTRXではその効果は認められなかった。また50mM rhTRXはノンメルカプトアルブミンをメルカプトアルブミンに還元し得たが、10mM rhTRXではその還元作用は認めなかった。潅流液中のrhTRXは酸化型を示した。以上より、還元活性を示す濃度以上の高濃度のrhTRXの潅流液内投与により肺虚血再潅流傷害が抑制されることが明らかとなった。一方、吸入投与法は今回の方法では肺保護作用を示さず、更なる至適投与方法の検討が必要であることが明らかとなった。
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