研究課題
基盤研究(C)
心拍動下冠動脈バイパス術は以下のような問題点を残している。(1)冠動脈吻合部に関する問題点:冠動脈血流遮断に伴う心筋虚血、冠動脈内皮障害と局所血栓形成・内膜肥厚。吻合の質低下に関連したグラフト開存率が心停止下手術に劣る可能性。(2)視野確保に伴う心臓圧迫に関連した循環動態の問題:回旋枝領域吻合中の循環動態異常。僧帽弁閉鎖不全の出現・増悪など。本研究では(1)の問題に関し実験研究を推進中である。OPCABにおける冠動脈遮断やシャント挿入に伴う冠動脈内皮損傷の解析とその軽減低下法の確立:非弾性糸による冠動脈血流遮断は冠動脈内皮にかなりの物理的損傷をもたらすことが確認された。血流遮断時に弾力性のある糸による冠動脈遮断や遮断諌止の材質・遮断力改善の効果判定:非弾性糸で生じた内皮損傷は弾性糸の使用で著明に改善することがブタを用いた実験で確認された。冠動脈内シャント挿入時の冠動脈内費損傷と軽減のためのシャント形状・材質の改良、挿入方法の工夫の効果:シャント挿入に伴う冠動脈内皮損傷はサイズが適合したシャントチューブを選択すると最小限に損傷が抑えられた。さらに心拍動下冠動脈バイパス術における冠動脈遮断・心筋短時間虚血の影響を分子生物学的解析により検討している。心拍動下冠動脈バイパス術モデルで短時間虚血後再灌流を行い、心筋組織切片を作成し、NFκBなどの発現を免疫組織化学的に検証中である。さらに、(2)の問題に関しても、心拍動下冠動脈バイパス術中に、特に回旋枝領域展開時に僧帽弁閉鎖不全が発生し、循環動態に大きな影響を及ぼし手術の安全性に大きな影響を与える。そこで、回旋枝領域展開、吻合のための一時的虚血により、僧帽弁の形態がどう変化するかについても検討を加えた。その結果、虚血のない心臓展開のみではMRは生じなかった。しかし虚血によりMRが発生し弁輪、乳頭筋レベルでの障害が示唆された。
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