研究課題
心筋細胞内ミトコンドリアは有酸素下で、NADHをNAD^+に変換するエネルギー産生を行っており、心筋虚血といった酸素不足の状態では、NADHはNAD^+に変換されず、心筋細胞内に蓄積する。NADHは紫外線に対して蛍光特性(370nm)を有しており、この特性に注目し、心筋虚血時の心筋のエネルギー代謝、さらには心筋の酸素供給のバランスをイメージ化するためNADH蛍光観測システムを開発した。これまでラットin vitroモデルでの計測結果について報告してきたが、今回、臨床応用を考えプロトタイプを作成した。動物in vivoモデルでの計測に移る前にNADH蛍光に対するHbの影響についてブタ全血を用いて検討した。NADH蛍光スペクトルピークの460nm波長光に対する吸光度、透過率を紫外可視分光光度計した。460nm波長光の吸光度は、Hbの濃度に依存して増加し、透過率はHbの濃度に依存して低下し、NADH蛍光がHbの存在下では減弱される可能性が示唆された。次にラットin vivoモデルで全心虚血と局所虚血を作成、検討した。全心虚血モデルでは、心筋虚血誘発直後よりNADH蛍光輝度が増強し、約60秒後にプラトーに達し、ラットin vitroモデルと同様の傾向が認められた。局所虚血モデルは、心筋虚血誘発直後より虚血領域に一致しNADH蛍光輝度が増強し、虚血解除後は速やかに減弱した。本システムでの、in vivoにおける心筋虚血時のNADH蛍光変化のリアルタイム評価が可能と思われた。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (1件)
IEICE ME and biocybernetics 106・370
ページ: 21-24