研究課題/領域番号 |
17591494
|
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
金田 幸三 近畿大学, 医学部附属病院, 講師 (40340830)
|
研究分担者 |
池田 義 京都大学, 医学研究科, 助教授 (40281092)
丸井 晃 京都大学, 医学研究科, 助手 (60402856)
|
キーワード | 人工臓器感染 / 抗生剤徐放ポリマー / 抗生剤局所投与 / 新しい予防・治療 / 徐放化bFGF / 組織再生 |
研究概要 |
1.徐放化線維芽細胞増殖因子によるMRSAライン感染予防 (背景)MRSAライン感染症は時に生命予後に関与する重要な合併症であるが、難治療性であり、予防が重要な問題である。塩基性線維芽細胞増殖因子(basic fibroblast growth factor、以下bFGF)の組織再生効果は単体では一過性に過ぎないが、生体吸収材料であるゼラチンを利用すると十分な組織再生が起こる。創部において徐放化bFGFを用いて組織再生を促し、細菌侵入を防ぐことがライン感染予防につながると考えられ、研究を行った。(方法)bFGF徐放シートを作成し、マウス皮下にダクロン繊維とbFGFシートを留置した。1週間後、ダクロン繊維の直上皮下にMRSAを接種し、48時間後にダクロン繊維中のMRSAの菌量を測定した。(結果)組織学的に皮膚とダクロン繊維の間にコラーゲンおよび血管の豊富な肉芽組織が観察された。また、ダクロン繊維中のMRSA数は徐放化bFGF群で有意に低下しており、約10%という結果であった。(結論)以上より、ライン刺入部周囲に徐放化bFGFを投与することにより、組織再生・創部治癒を推進し感染予防が可能と考えられた。 2.抗生剤徐放シートの作成 (背景)現代医療の場において感染の治療・予防は重要な課題であるが、抗生剤の全身大量投与は副作用を引き起こしやすい。手術部位など局所への単回投与で最大の効果を上げるには抗生剤の徐放シートがもっとも望ましいと考えられる。(方法)塩酸バンコマイシンを生体吸収材料であるPLCAと重合させ、シート状にする。このシートを生体内に留置し、一定期間後回収し、残存したシート中およびシート周囲組織中のMRSA量を測定した。(結果)PLCAよりバンコマイシンは2週間にわたり徐放され、さらに周囲組織より高濃度のバンコマイシンが検出された。(展望)シートを用いてMRSAグラフト感染モデルやMRSA前縦隔炎モデルで効果を確認する予定。
|