研究課題/領域番号 |
17591495
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
胸部外科学
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
竹之山 光広 産業医科大学, 医学部, 講師 (10309966)
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研究分担者 |
花柳 武志 産業医科大学, 医学部, 講師 (30299614)
菅谷 将一 産業医科大学, 医学部, 助手 (40352306)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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キーワード | SEREX法 / 腫瘍内浸潤B細胞 / 腫瘍抗原 / 抗体療法 / 肺癌 / lung cancer |
研究概要 |
【背景および目的】近年、がんに対する抗体療法はめざましい成果を上げており、新たな標的分子の同定が期待されている。われわれは、がん特異的な抗体の検出のために、腫瘍組織内浸潤B細胞(TIB)に着目し、がん組織移植SCIDマウスの系を用いることによりTIB由来ヒト型抗体が高い腫瘍特異性を示し、これをSEREX法に応用する新しい手法を報告してきた。本研究では、がんの新たな抗体療法を目指し、同方法で同定した有用な腫瘍抗原をターゲットにした抗体療法の有用性を検討した。 【結果】肺癌症例1(G603症例)で同定した抗原の一つはcancer-testis抗原であるMAGE-B2であり、原発巣切除後にMAGE-B2に対する抗体価は減少し、再発時に上昇したことにより腫瘍マーカーとしての有用性が示唆された。肺癌症例2(A904症例)で同定した22種類の癌関連抗原のうち、細胞膜貫通ドメインを有する新規肺癌関連抗原Protein Xは、肺癌細胞11株中5株(45.5%)に高発現しており、当科で切除した肺癌組織では対照の正常肺に比較して15組織中9組織(60%)に高発現していた。次に、Protein Xに対するrabbit polyclonal抗体を作製し肺癌組織で免疫染色を行ったところ、28組織中7組織(25.0%)は細胞膜が染色されていた。この抗Protein X抗体のin vivoにおける抗腫瘍効果を腫瘍(A904L)を移植したSCID mouseモデルで検討したところ、抗体投与群は対照群に比べ、有意に腫瘍増殖抑制を示した。さらに、抗Protein X抗体の補体依存性細胞障害活性(CDC活性)を検討したところ、対照のrabbit抗体に比べ有意なCDC活性を認めた。 【まとめ】腫瘍内浸潤B細胞由来腫瘍特異的抗体を用いたSEREX法により単利した抗原の中に、腫瘍マーカーや抗体療法としての有用な抗原が存在し、特に細胞表面に発現するProtein Xに対する抗体はin vitroおよびin vivoにおいても抗腫瘍効果を有し新たな抗体療法の候補となることが示唆された。
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