研究課題/領域番号 |
17591499
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
今井 英明 群馬大学, 医学部, 助手 (70359587)
|
研究分担者 |
齊藤 延人 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60262002)
石崎 泰樹 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90183003)
内田 孝幸 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助手 (80334093)
風間 健 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (30396626)
今野 兼次郎 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (30323348)
|
キーワード | ミニブタ脳梗塞モデル / 再現性 / 低侵襲性 / 脳室壁 / 神経細胞塊 / 自家細胞移植 / 神経再生 / MRI |
研究概要 |
【目的・背景】基礎から臨床への橋渡しをする研究(トランスレーションナルリサーチ)を目的としてミニブタ脳梗塞モデルを開発し、これを応用して神経幹細胞自家移植による脳梗塞治療法の開発を目指す。【方法】(1)脳梗塞モデルの開発と梗塞巣の評価SPF(Spcecific Pathogen Free)のミニブタ(体重14〜24kg)を使用。イソフルラン全身麻酔下に右前頭側頭開頭を行い、顕微鏡直視下に右中大脳動脈電気凝固(中大脳動脈起始部から嗅神経の直上までのsegmentary diathermy)し切離したMCAO群(n=5)。対象群として、開頭のみのSham群(n=5)、内頚動脈閉塞(ICAO)群(n=6)を作成。虚血24時間後、MRI(T1、T2、FLAIR、DWI)&MRSによる脳梗塞画像評価を施行。その後、全身麻酔下にパラホルムアルデヒドにより灌流固定を行った。5μmのパラフィン切片にて病理組織学的に虚血障害部位の評価を行った。H&E染色により灰白質(神経細胞体)障害部位の固定を、免疫染色(APP : amyroid precussor protein抗体)により軸索損傷部位の同定を行った。脳梗塞体積の定量を目的に定位的冠状断面を16スライス選定してミニブタ脳ラインダイアグラムを作成した。病理組織学的結果をもとにラインダイアグラム上に梗塞巣をプロットし梗塞面積から梗塞体積を算出した。(2)移植細胞の調整 ミニブタ側脳室からの神経幹細胞培養条件の検討ミニブタ脳の側脳室壁より脳室下層・上位層細胞を採取する。側脳室壁より得た神経幹細胞を含む中枢神経系の細胞をEGEやbFGFを加えた無血清培地で浮遊培養を行い増殖させ、神経塊(neurosphere)を形成する。この細胞群を限界希釈法で単一培養し、数週間で同様の神経細胞塊(neurosphere)を形成させる。【結果】3群間(MCAO群、ICAO群、Sham群)で生理学パラメーターにおいて有意差は認めなかった。Sham群では、MRI画像と病理組織所見ともに脳梗塞は認めなかった。MCAO群では全例でMRI(DWI : diffusion weighted imaging)にて右大脳基底核と大脳皮質に広範囲のhyper intesity areaの脳梗塞巣を認めた。脳梗塞体積は17.9±2.3(mean±SD)cm^3でありミニブタ全脳体積の約25%を占めた。また、個体間での脳梗塞体積のばらつきは少なく本モデルの再現性と信頼性の高さを示した。ICAO群では梗塞は大脳腹側(視床下部と一部の大脳基底核)に認めるのみでその梗塞巣体積は1.5±0.5(mean±SD)cm^3であり、MCAO群に比して小さかった。【考察】ミニブタを用いた中大脳動脈閉塞モデルの作成手法と脳梗塞巣の病理組織学的所見にいて検討した。本法は(1)眼球摘出や圧迫の侵襲がないこと、(2)術野が広いためorientationがよく確実にMCAの閉塞が可能であること、(3)硬膜縫合が強固に行えるため髄液漏出などの合併症が少ないため長期の実験すなわち慢性期実験にも応用が可能であることなどの利点があげられた。【来年度実験計画】側脳質壁から細胞を採取し、至適培養下でneurosphereを作成する。脳内へ移植し、生着、ネットワークの形成についてはまだ評価する。また移植細胞をMRIで追跡するための標識法を考案する。
|