研究課題/領域番号 |
17591506
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
桑山 直也 富山大学, 附属病院, 講師 (30178157)
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研究分担者 |
久保 道也 富山大学, 医学部, 助手 (10234486)
遠藤 俊郎 富山大学, 医学部, 教授 (70125269)
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キーワード | 硬膜動静脈瘻 / non-sinal type / 疫学調査 |
研究概要 |
本課題は平成17年10月28日に交付が決定され、早急に研究を開始した. 前回の疫学調査(基盤研究C2、課題番号15591512:わが国における頭蓋内および脊髄硬膜動静脈瘻の疫学的調査)において、その後の症例データを分析検討するとともに、アンケート調査を開始した. 硬膜動静脈瘻は硬膜静脈洞にシャントを生じるもの(sinal type)と直接、脳静脈にシャントするもの(non-sinal type)に分けられ、一般的に後者の治療成績が不良であるとされている.前回の疫学調査で集積された1490例うち、いわゆるnon-sinal typeの233例について治療成績を中心に分析した.発生部位はテント部(TENT)54例、頭蓋頚椎移行部(CCJ)44例、前頭蓋底部(ACB)53例、脊髄(SP)100例、円蓋部(VLT)22例であった。出血静脈性梗塞などの悪性症状の比率はTENT 56%、CCJ 59%、ACB 62%、SP 99%、VLT 50%と、海綿静脈洞部に比して非常に重篤であった.血管内治療が行われたのはTENT 85%、CCJ 48%、ACB 19%、SP 50%、VLT 64%、外科治療はTENT 15%、CCJ 18%、ACB 68%、SP 51%、VLT 36%であった。治療後完全閉塞が得られたのはTENT 30%、CCJ 46%、ACB 71%、SP 73%、VLT 59%、症状が消失したのはTENT 32%、CCJ 50%、ACB 55%、SP 21%、VLT 50%であった。以上よりnon-sinal typeの硬膜動静脈瘻には以下、3点の特徴が挙げられた。(1)本疾患群においても血管内治療の比率が予想外に高い、(2)TENT、CCJにおいて外科治療の比率が予想外に低い、(3)テント周囲の病変は閉塞率、臨床転帰ともに不良である、(4)脊髄病変は閉塞率が高い一方、臨床転帰は不良である。今後、追加アンケートによるさらに詳しい分析を予定している. 追加アンケートについては対象施設を「日本脳神経血管内治療学会認定専門医あるいは同指導医の勤務する施設」に限定し、現在作成中の症例登録票を配付して、症例の神経症状/症候、治療内容、転帰、合併症、3ヶ月後の転帰を調査する予定である.
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