研究概要 |
正常マウスより摘出した骨髄間質細胞の多分化能の選択性を高める目的で、Thy-1およびSca-1の表面抗原によりsortingされた幹細胞をレチノイン酸存在下で培養し、神経系細胞への分可能を調べた。さらに、同様の細胞をラット海馬スライス培養上で共培養し、分可能を調べた。Aβ投与による神経幹細胞・骨髄幹細胞培養への細胞死の機序を調べるため、神経幹細胞培養を通常のmicrosphere法によりC57BL/6マウスより作成し、poly-D-lysinコートディッシュ上無血清培地にて培養、分化誘導開始時点より、Aβ1-42 oligomer(2,5,10ug/ml)を投与、幹細胞→神経系細胞への分化過程での、細胞生存率、Neu-N,MAP2、010、GFAP/Vimentin等の抗体で分化比率などについて解析した。 生体内での分化能を調べるために、GFP遺伝子導入マウスの骨髄細胞を5FU処置マウスの末梢血に注入しキメラマウスを作成、collagenaseを線条体に定位的に注入し脳内出血を作製した。出血後day28まで脳切片中の骨髄由来細胞の出現と消退について観察した。出血後1-3日では血腫内に末梢血中のGFP(+)の白血球が観察された。免疫染色にて、血腫周辺にて一過性にvWF(+)の管腔形成に骨髄由来細胞は関与した。また、Iba-1(+)細胞の出現をday8から認めこれはday28まで続いた。一方、GFAP、Neu-Nに対しては骨髄由来細胞は陰性であった。骨髄由来細胞が神経系細胞へ分化する可能性については議論が多いが、今回の実験系では組織学的レベルで神経系細胞への分化は確認できなかった。
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