培養細胞系を用いて、マウス骨髄間葉系幹細胞(bone marrow stromal cell: BMSC)中に存在するSca-1抗原陽性細胞における神経分化の可能性に関して共培養系用い検討した。S-Drat、 E-14胎児の線条体から得られた神経細胞を無血清培地で培養した。BMSCはGFPマウスより採取し、微小磁気ビーズを用いてSca-1 cell sortingを行い共培養した。また、生後9日のS-Dratの海馬切片培養とBMSCの共培養も行い、vivoに近い状況での変化も観察した。いずれの培養においても、無血清ではBMSCは死滅傾向にあったが、血清培地に変えると、Sca-1陽性細胞は陰性細胞に比べ生存率が高く、形態学的分化能も優れていた。Sca-1抗原は未分化の指標と考えられた。一方、脳梗塞と比べ脳内出血時には、初期からの組織破壊と広範な脳浮腫が生じる。体循環からの骨髄由来細胞の脳損傷部位への動員も梗塞巣と出血巣では異なると予想される。今回、GFP遺伝子導入マウスの骨髄細胞を5FU処置マウスの末梢血に注入しキメラマウスを作成、collagenaseを線条体に定位的に注入し脳内出血を作製した。出血後day28まで脳切片中の骨髄由来細胞の出現と消退について観察した。出血後1-3日では血腫内に末梢血中のGFP(+)の白血球が観察された。免疫染色にて、血腫周辺にて一過性にvWF(+)の管腔形成に骨髄由来細胞は関与した。また、Iba-1(+)細胞の出現をday8から認めこれはday28まで続いた。GFAP、Neu-Nに対しては骨髄由来細胞は陰性であった。骨髄由来細胞が神経系細胞へ分化する可能性については議論が多いが、今回の実験系では組織学的レベルで神経系細胞への分化は確認できなかった。
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