これまでの研究により、悪性グリオーマではDNA二本鎖切断修復分子であるKu70の発現亢進がみられ、Ku70が放射線治療抵抗性の一因となっている可能性が示された。また、siRNAを細胞導入するために、本実験で用いたHVJ-Eベクターは低濃度では細胞毒性がなく、また十分なgene silencing効果があることが示された。これまでin vitroの実験にて、悪性グリオーマ細胞におけるKu70の発現抑制は放射線感受性を有意に高めることを示してきた。今回、ヌードマウス皮下にU251MGグリオーマ細胞を移植し、ある一定サイズの腫瘍塊が形成された後、Ku70のsiRNAを封入したHVJ-Eを腫瘍内投与し、腫瘍増殖における放射線照射の効果について検討した。本皮下腫瘍モデルにおいて、Ku70 siRNA投与+放射線照射は対照に比べ、有意に腫瘍増殖は抑制され、腫瘍縮小効果がみられた。今後、脳内腫瘍移植モデルで同様の検討を行う予定である。
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