研究課題/領域番号 |
17591519
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
森岡 基浩 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (20295140)
|
研究分担者 |
倉津 純一 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (20145296)
甲斐 豊 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (30322308)
矢野 茂敏 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (60332871)
|
キーワード | Apo-E / タウ因子 / リン酸化反応 / 虚血性神経細胞死 |
研究概要 |
アルツハイマー病の主要な原因として、アポリポ蛋白E(Apo-E)の変異型;Apo-E4の沈着/その他の不明な病因によりタウ因子の過剰燐酸化(神経原繊維の主成分)が惹起されそれにより神経細胞死が誘発されることが考えられている。アルツハイマー病の病因の一つとして慢性の脳虚血も考えられていることより私たちは脳虚血の病態にもこのapo Eとタウ因子過剰リン酸化が関与しているのではないかと考えた。 まず砂ネズミ一過性前脳虚血後の海馬CA1領域において、正常Apo-E蛋白が神経細胞死に先んじて神経細胞内に集積することを明らかにした。その後我々は一過性脳虚血後の海馬神経細胞内にタウ因子の過剰リン酸化が惹起されていることを明らかにした。これは特にタウ因子のserin 199/202において顕著であった。さらにこれらの過剰リン酸化は細胞死の見られない条件では見られない現象であった。 このことは、正常神経細胞は虚血に暴露された後に正常Apo-E蛋白を必要とし、なんらかの修復を図ろうとするが、このときに変異型Apo-Eであったり、タウ因子の過剰リン酸化が防御できないレベルに達すると細胞死に向かうというメカニズムが考えられた。 そこで私たちはヒトApo-E蛋白のcDNAをクローニングし発現型ベクターに組み込み大腸菌を用い組み替えApo-E蛋白を生成した。この蛋白に標識蛋白をつけを砂ネズミに脳虚血後投与すると海馬領域に集積した。次に培養細胞においてApo-E蛋白を投与することで低酸素障害を抑制しタウ因子の過剰リン酸化を抑制することが明らかになった。 今後は脳虚血後Apo-E蛋白投与が細胞死を抑制するのかどうか、そのメカニズムとしてタウの過剰リン酸化がどのように関わってくるかを明らかにしてゆく予定である。
|