研究課題
基盤研究(C)
海馬では成体になってもニューロンの新生が続いていることが、実験動物及びヒトで明らかにされている。また、てんかんモデルラットではこのニューロンの新生が増加していることが知られている。本研究では、てんかん患者と対照群患者を比較し、てんかん患者の海馬におけるニューロン新生の動態について観察した。初期神経分化マーカーとKi67の抗体を用いて、てんかん患者および対照群の患者の海馬を染色し、発生運命がニューロンに限定された増殖細胞を検出した。術後摘出された海馬を4%パラフォルムアルデヒドで、4℃、3日間振盪固定させた。次に、細胞増殖マーカーのKi67、ニューロンの初期マーカーのHu、MASH1、NeuroD、未熟ニューロンのマーカーのポリシアル酸やdoublecortinとを組み合わせ蛍光2〜4重免疫染色をし、共焦点レーザー顕微鏡下で細胞増殖とニューロン新生を詳細に観察した。顆粒細胞の分散や歯状回門の細胞脱落が見られるてんかん患者では、正常なPSA陽性細胞が減少し、異常な形態のPSA陽性細胞が増えていた。てんかん患者でも対照群患者でもKi67+/Hu+増殖性神経前駆細胞は検出され、その近傍にDCX+未熟細胞が存在するが、てんかん患者と対照群患者の間で、その数に顕著な差は見られなかった。以上より、てんかん患者では、ニューロン新生が起こるが、その発達期に細胞死や形成異常が起こる可能性が考えられる。
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