研究概要 |
方法 細胞培養 8週齢,雌ウィスターラットから,両側大腿骨を無菌的に採取した.大腿骨の近位および遠位端を切除し,18G針を付けたシリンジからDulbecco's Modified Eagle medium(DMEM)を用いて骨髄腔を洗い流した.得られた細胞浮遊液を200G,7分間遠沈し,上清を吸引除去した.沈殿した細胞に10%ウシ胎児血清含有DMEM25mlを添加懸濁し,2枚重ねにしたレンズペーパーを用いて細胞浮遊液を濾過した.濾過した細胞懸濁液にmacrophage-colony stimulating factor(M-CSF)を10ng/ml添加し,75cm2のフラスコに播種後,37℃,5%二酸化炭素含有大気,湿度100%で培養した.72時間後,上清を吸引除去して4℃リン酸緩衝液でフラスコを3回洗浄後,0.25%tripsin-ethylenediaminetetraacetic acidを添加し,壁吸着性細胞分画を回収した.得られた壁吸着性細胞分画を4x10^5個/mlの密度で再び播種し,細胞機能について解析した. 培養細胞の表現形質 壁吸着性細胞分画を24,48,72時間後に単球・マクロファージマーカーCD68を用いて免疫細胞化学的に検討し,CD68陽性率を算定した. 次に,壁吸着性細胞における墨汁およびチタン顆粒に対する貪食能を検討した. 墨汁は墨汁添加後,24,48,72時間で,貧食能を観察した.貪食した細胞数を計算して%表示とした. チタン顆粒は135℃,15分間オートクレープ処理後,DMEMで0.15%(weight%)に濃度調整した.添加直前に30分間超音波破砕処理により均等に顆粒を分散し壁吸着性細胞分画に添加した,貪食した細胞数を計算して%表示とした.チタン顆粒添加群では,チタン顆粒添加後0.5,1,3,6,12時間で観察した. 平均粒子径5.59μm,比表面積0.72m^2/mlのチタン顆粒を使用した. 結果 培養細胞の表現形質 壁吸着性細胞分画は,CD68陽性率99.55±0.14%であり培養72時間まで維持されていた.貪食能では,99.34±0.12%が墨汁貧食能を有し,添加後72時間まで貪食能が維持されていた. チタン顆粒貪食では,99.52±0.1%に貪食を認め,添加後12時間まで維持されていた.
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