研究課題
基盤研究(C)
【目的】転写制御因子Nuclear factor kappa B(NF-kB)は様々な炎症性サイトカイン遺伝子転写制御因子であり、疼痛の発現に深く関わっている。近年、NF-kBのデコイヌクレオチドが開発され、その疼痛制御効果が注目されている。本研究でラット炎症性疼痛モデルに対するNF-kBデコイの効果を検討した。【方法】8週齢の雄性SDラットを用いた。In vitro study;採取したL5後根神経節(DRG)細胞をexplant culture 下 FITC標識したデコイを添加し、その導入率、及び導入細胞面積を検討した。In vivo study;左坐骨神経を露出し、30ゲージ針にてFITC標識デコイ10μlを注入、1週間後に屠殺し、左L3からL5のDRGを摘出、導入率及び導入細胞面積を検討した。行動学的評価として、デコイを10μl坐骨神経に注入した実験群、生理食塩水10μlを注入した対照群を5匹ずつ作製、左足底に炎症物質complete Freund's adjuvant 50μlを注入し、ラット炎症性疼痛モデルを作製した。術前、術後1、2、3、7、10、14日後に、von Frey filamentsを用いた機械刺激、Hargreaves deviceを用いた熱刺激に対するそれぞれの疼痛行動を評価した。【結果】In vitro study;全DRG細胞に対する導入率は53.6%であり、導入細胞は小型38.6%、中型32.6%、大型29.8%であった。In vivo study;導入率は20.5%、導入細胞は小型31.6%、中型38.9%、大型29.6%であった。行動学的評価では、術後2日から14日まで、mechanical allodyniaが、術後2日および3日でthermal hyperalgesiaが実験群では有意に抑制された。【考察・結論】NF-kBは炎症局所への注入あるいは脊髄腔投与により、炎症抑制効果があることが報告されている。本研究ではデコイが逆行性にDRG細胞に取り込まれることで、炎症部位にて放出された炎症性サイトカイン等の刺激によるメディエーターの産生が抑制され、その結果脊髄後角への疼痛伝達が遮断され疼痛行動が抑制されたと考えられた。また、坐骨神経への注入といった、比較的簡便な、ルートブロックに準ずる投与経路でのデコイの有効性が示唆された。
すべて 2006
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