研究課題/領域番号 |
17591548
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
茂呂 徹 東京大学, 大学院医学系研究科, 科学技術振興特任教員 (20302698)
|
研究分担者 |
高取 吉雄 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (40179461)
石原 一彦 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (90193341)
鄭 雄一 東京大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (30345053)
星地 亜都司 東京大学, 医学系附属病院, 講師 (70236066)
三浦 俊樹 東京大学, 医学系附属病院, 助手 (20376479)
|
キーワード | 手術 / 腱損傷 / 癒着防止材 / バイオマテリアル / 生体適合性 / ハイドロポリマーゲル / 高分子材料 |
研究概要 |
腱の癒着は関節の運動障害をきたし、社会復帰や日常生活の大きな妨げとなる。そこで、生体細胞膜類似構造を有し、優れた生体適合性と潤滑特性を発揮する高分子材料・2-methacryloyloxyethyl phosphorylcholine(MPC)ポリマーを用いた癒着防止材を創案した。これは、MPCポリマーにカルボキシル基あるいは三級アミノ基をブロック的に配列させたもので、これらを混合すると直ちにゲル化して粘性が高まり、腱表面に接着させることができる。また、MPCポリマーは、液性因子の透過を妨げないこと、表面にタンパク質の吸着が起きないため癒着する可能性が少ないこと、異物としての認識を受けず生体の異物反応を惹起しないこと、潤滑性に優れること、が判明している。本研究の目的は、MPCポリマーゲルによる腱縫合部の被覆を、腱癒着の防止技術として臨床応用するために必要な基礎的検討を完了させることであり、本年度は下記の検討を行った。 1. MPCポリマーゲル被覆による腱縫合部の癒合に対する効果の検討 前年度に引き続き、MPCポリマーの合成条件をかえ、腱損傷モデルに用いてMPCポリマーゲルが腱縫合部の治癒(癒合)に与える影響を検討した。経時的に肉眼所見、組織所見、力学所見を検討し、MPCポリマーゲルが腱の治癒(癒合)を妨げないことを確認した。 2. MPCポリマーゲル被覆による腱縫合部の癒着防止に対する効果の検討 上記1.で使用したMPCポリマーゲルを腱癒着モデルに用い、MPCポリマーゲルの癒着防止効果を検討した。マイクロ顕微鏡視下に腱を損傷した後MPCポリマーゲルで被覆し3週間の外固定を行った。経時的に肉眼所見、組織所見、力学的所見を検討し、MPCポリマーゲルが腱の癒着を防止することを確認した。 3.腱縫合部を被覆したMPCポリマーゲル表面の潤滑特性の評価 上記2.の腱癒着モデルを利用し、手術3週後に趾屈曲運動を反復した後の腱滑走抵抗を測定して力学的に評価し、MPCポリマーゲルが腱滑走抵抗を低下させ、潤滑特性に優れることを確認した。
|