研究概要 |
1.関節マーカープロモーターの基本転写活性の評価 GDF5の転写開始領域から5'UTRまでの種間高度保存領域内をルシフェラーゼ・レポーターアッセイにてより詳細に検討した結果、転写開始点直前と5'UTR内翻訳開始点近傍に基本転写活性の高い領域が存在することが確認された。とくに転写開始点周囲64塩基の配列をタンデムにつないだ合成配列ではコピー数依存性に転写活性が上昇し、基本転写活性をになうエンハンサーであると考えられた。また昨年度同定した転写因子p63についてWNT9A, GDF5プロモーターにおける結合領域をルシフェラーゼ・レポーターアッセイとゲルシフトアッセイで絞込みWNT9Aのプロモーター内に2箇所、GDF5プロモーター内に1箇所直接結合する配列を同定した。 2.関節マーカー誘導因子のクローニング GDF5とWNT9Aプロモーターを用い軟骨分化誘導系におけるマイクロアレイ情報をもとに作成したプラスミド発現ライブラリーを作用させてこれらプロモーターの転写活性化因子をスクリーニングした。結果、SOX4,SOX7,SOX11,SOX17,HOXC8,HMGB1,HMGB3,HMG20A, YY1,YY2などの転写因子が関節マーカー分子の転写を活性化することが明らかとなった。これらをp63と組み合わせて強制発現し内在性のGDF5やWNT9Aの誘導を評価したがATDC5にp63を導入したさい、Gdf5が弱く誘導されたのみで有用なin vitro関節形成系の構築にはいたらなかった。 3.ex-vivo関節形成系の確立 マウス発生肢の器官培養系ヘアデノウィルスを用いてWNT9A, p63を同時導入したが関節形成には不十分で、より特異的な転写因子の同定が必要と考えられた。
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