研究課題/領域番号 |
17591552
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村上 元昭 東京大学, 医学部附属病院, 医員 (50396751)
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研究分担者 |
川口 浩 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (40282660)
鄭 雄一 東京大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (30345053)
中村 耕三 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60126133)
釘宮 典孝 東京大学, 大学院医学系研究科, 科学技術振興特任教員 (40447389)
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キーワード | cyclic GMP / 軟骨 / 再生医療 |
研究概要 |
cGKllは、ヒトにおいてもマウスにおいても骨成長に重要であることが知られているCNP/cGMPシグナルの下流に位置するキナーゼであり、そのキナーゼ活性を喪失した自然発症型変異ラットKMlは軟骨細胞の肥大分化障害によって四肢短縮を呈する。 cGKllの標的遺伝子の同定する研究では、軟骨肥大化関連分子の中からcGKllのリン酸化標的をスクリーニングしたところ、古典的Wntシグナル関連分子であるglycogen synthase kinase-3β(GSK3β)が強力にリン酸化されその活性が抑制された。軟骨細胞株ATDC5にcGKllを過剰発現した場合も、GSK3β活性阻害剤であるLiClを添加した場合もCOL10の発現は強力に誘導されたが、cGKllによってリン酸化を受けない恒常活性変異型GSK3β(GSK3βS9A)を共発現させるとcGKllによる肥大分化は抑制された。また、cGKll過剰発現はβ-cateninの分解を抑制して核内への移行を誘導し、同時にTCF promoter活性を上昇させたが、これらはすべてGSK3βS9Aの共発現によって回復した。続いてcGKll欠損マウス(cGKll-/-)の骨軟骨を解析すると、軟骨細胞肥大化の障害による成長板の増高と四肢の短縮が見られた。一方、GSK3β-/-マウスは胎生致死であったがGSK3β+/-マウスは正常に成長した。そこでcGKll-/-にGSK3β+/-マウスを交配してダブルノックアウトマウス(cGKll-/-;GSK3β+/-)を作出したところ、cGKll-/-の成長板増高と成長障害が有意に改善された。cGKllはGSK3βをリン酸化・不活化することによって古典的Wntシグナルを活性化し、生体内での成長板軟骨細胞の肥大化による骨成長を制御していることが示された。軟骨分化におけるCNPシグナルとWntシグナル間の分子ネットワークの存在が明らかとなった。本研究は国内外の学会で発表し、高い評価を受けた(日本骨代謝学会優秀演題賞、米国骨代謝学会Young Investigator Award、豪州ニュージーランド骨代謝学会Outstanding Abstract AwardおよびYoung Investigator Award)。 軟骨特異的cGKllコンデイショナルノックアウトマウスおよび軟骨特異的cGKllトランスジェニックマウスの作出については、ターゲテイングベクターはすでに構築済みであり、現在cGKll floxマウスおよびcGKllトランスジェニックマウスを作出中である。
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