研究課題
基盤研究(C)
本研究の目標は、再現性良く椎体終板硬化を観察可能な動物モデルとして、マウス尾椎椎間板変性モデルを作成し、椎間板変性の分子メカニズムを探索することである。隣接する尾椎椎体に鋼線を刺入し、これを足場として歯科矯正用の超弾性ばねを装着することによって椎間板に軸圧を負荷した。その結果、手術後4週以内にてマウス尾椎椎間板変性を安定して惹起することが可能となった。組織学的には、椎間板髄核に肥大軟骨様細胞が出現し、ヒト変性椎間板の病理組織像と類似している。マウス尾椎椎間板変性モデルを多数作成し、経時的に組織学的に評価することによって、我々は、椎間板変性に先立って椎体終板の軟骨細胞が肥大化し、やがて骨化することを見出した。これは死体などを用いた椎間板の研究で見出された知見と一致する。なおかつ、この過程において、終板軟骨細胞では肥大軟骨細胞の基質蛋白であるX型コラーゲン、および骨芽細胞分化のマスター遺伝子のひとつである転写因子Runx2の発現が亢進しており、この軟骨終板骨化過程においてRunx2が重要な役割を担っている可能性を見出した(米国骨代謝学会にて発表、竹田、麻生ら、2005年)。これらの知見を元に、より大型動物である犬において、正常椎間板と変性椎間板におけるRunx2の発現を比較した。マウスでの結果と同様に、変性椎間板ではRunx2の発現が亢進しており、発現部位は軟骨変性のマーカーであるMMP-13と重複していた。以上の結果より、椎間板変性の初期においてRunx2が発現し、MMP発現や基質産生亢進など、変性所見を制御している可能性が示唆された。
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Journal of Veterinary Medical Science 70-1
ページ: 37-42
Journal of Veterinary Medical Science 70(1)
Journal of Orthopaedics Research (in submit)