研究概要 |
脊髄圧迫損傷後1週の運動麻痺の程度により、完全損傷、不全損傷にグループ分けした。脊髄圧迫モデルは(Black P et al.,Neurosurgery,1986)に基づき、完全損傷(重垂120g,2min)、不全損傷(重垂60g,1min)を作製、損傷直後、損傷後1、4週脊髄を摘出した。各サンプルごとに採取したtotalRNAを調節後、精製したpoly(A)RNAをAgilent 2100 Bioanalyzerを用いて純度を確認した。Gene Chip解析にはAffymetrix社GeneChip Rat Genome 230 2.0 Arrayを用いた。各サンプル間の比較解析のため正規化を行い、信頼性が低く、変動の小さい遺伝子を除去するため、Detection callを用いてフィルタリングを行った。抽出したプローブセットを用いて発現率、発現差を指標として変動遺伝子の抽出した。階層型クラスタリング解析を行い、樹形図を作成した後、各パターンごとに、生物学的特徴を知るために、Gene Ontology解析、pathway解析(KEGG pathway解析)を順次行なった。右上がりの遺伝子発現は、glutathione metabolism, TGF-beta signaling pathway, ECM-receptor interaction、facal adhesion、右下がりの遺伝子発現としてはlong-term depression, calcium signaling pathway, cell adhesion molecules、損傷後二相性のパターンを呈したのは、cell cycle, galactose metabolism, purine metabolismであった。これらの解析により、損傷程度による炎症の遺伝子発現と同時に、細胞生存、死のpathway-signalが同時に生じていることが示唆された。
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