研究概要 |
非ウイルスによる骨髄間葉系細胞に対する遺伝子導入法の比較 【目的】ヒト骨髄間葉系細胞(hMSCs)は自己細胞移植や遺伝子治療の標的として注目を浴びている.一方,非ウイルスベクターによる遺伝子導入は臨床面や技術面でウイルスベクターによるものに比べて利点が多い.たとえば免疫反応が少なく,導入する遺伝子の大きさの制限が少ない.しかし低効率であるのが最大の欠点とされる.hMSCsとラット骨髄間葉系細胞(rMSCs)に対しGFPプラスミドを導入し,2つの非ウイルスベクターによる遺伝子導入を行った.1つは従来からあるelectroporationであり,もうひとつは新しいnucleofectionである, 【方法】ヒト骨髄およびラット骨髄よりそれぞれhMSCs,rMSCsを準備しpEGFP-Nlプラスミドをelectroporation(BTX社製ElectroSquarePorator830)とnucleofection(Amaxa社製)による導入効率をセルカウントにより計測した. 【結果】electroporationの24時間後,13.0%のhMSCsおよび6.8%のrMSCsがGFPを発現した.至的条件は600V,100/JSであった.明らかな毒性は認めなかった.nucleofectionの24時間後,41.8%のhMSCsおよび9.9%のrMSCsがGFPを発現した.至的条件はprogramA-23であった.明らかな毒性は認めなかった. 【考察】hMSCsに対しnucleofectionはelectroporationに比して高効率に遺伝子導入可能であった.さらにneomycine(G418)によるセレクションを行うと導入効率は60%にもおよび,明らかな細胞毒性は認めなかった.nucleofectionは高効率で新しい遺伝子導入法で,骨髄間葉系細胞のみならず,遺伝子導入しづらいといわれている他の細胞に対しても応用できると考える.
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