研究課題
1.骨盤骨切り術時に同意を得て腸骨より骨髄を採取し、通常のDMEM培養液(control medium : C)およびデキサメサゾン、アスコルビン酸、βグリセロリン酸を含む骨芽細胞誘導培養液(osteogenic medium : O)を継代毎にそれぞれ組み合わせて、骨髄付着性細胞をP2まで培養した。すなわち、8種類の培養細胞群を形成した(C→C→C、C→C→O、C→O→C、C→O→O、O→C→C、O→C→O、O→O→C、O→O→O)。培養液中のアルカリフォスファターゼ、I型コラーゲン、オステオカルシンの濃度およびそれら骨形成マーカーのmRNAレベルでの発現を骨芽細胞への分化の指標とした。また、それぞれの群おける細胞増殖能を検討した。in vivoにおける骨形成能は、diffusion chamberに封入したそれぞれの群のP2培養細胞をヌードマウスの背部皮下に移植し、chamber内の新生骨により評価した。培養液中の骨形成マーカーはいずれも、2代以上OSで培養したものが上昇していた。一方、細胞増殖に関しては、Cで培養したものが良好であった。骨形成能は、P2をOSで培養したものがCで培養したものに比較して優れており、in vitroとの結果と若干のdiscrepancyを示した。2.さまざまな濃度の多血小板血漿を骨髄細胞と混合したのちゲル化して三次元培養を行い、骨芽細胞への分化度および細胞増殖能を1と同様に検討した。血小板濃度と骨芽細胞への分化能は正の相関を示したが、増殖能に関しては、血小板濃度による差は認めなかった。3.仮骨延長術における培養骨髄細胞と多血小板血漿の移植による臨床研究を継続し、骨再生能を検討したところ、下腿骨延長に比較して大腿骨延長における本法の有用性が明らかとなった。本法の効果は、豊富な軟部組織の血流により増幅される可能性が示唆された。
すべて 2005
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