研究課題/領域番号 |
17591566
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤林 俊介 京都大学, 医学研究科, 助手 (30362502)
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研究分担者 |
中村 孝志 京都大学, 医学研究科, 教授 (10201675)
根尾 昌志 京都大学, 医学研究科, 講師 (80311736)
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キーワード | チタン / 多孔体 / 生体活性 / 骨誘導 / 人工材料 / セラミックス / 破骨細胞 / 動物実験 |
研究概要 |
1.希塩酸処理の効果:骨誘導能を有する多孔体生体活性チタンの骨誘導能を向上させる目的で、従来のアルカリ加熱処理に希塩酸処理を追加し、処理層内のナトリウムを完全に除去した。その結果、従来の処理では犬背筋内での骨誘導に6ヶ月要したのが、3ヶ月で骨誘導を示すことが判明し、骨誘導へのナトリウムイオンの関与および、処理層の微細構造の関与が示唆された。 2.EP4アゴニストの影響:骨誘導能を有する多孔体材料(生体活性チタン、A-Wガラスセラミック、β-TCP)を犬背筋内に埋入した。3μg/kgのEP4アゴニストを埋入時に投与し、6、12、18週後に取り出し、EP4アゴニストが骨誘導能に与える影響を組織標本として比較した。EP4アゴニスト非投与群をコントロールとした。埋入6週では、いずれの材料においても骨誘導能の違いに有意な差は認めなかった。今後、12週、18週の標本を評価し、投与の影響を考察する。また投与時期の違いが骨誘導に与える影響についての考察も同時に行う。 3.HAPを用いた骨誘導メカニズムの解明:φ4mm×4mmの円柱体HAP(Ca/P=1.61)を使用し、犬背筋内での骨誘導についての組織学的評価を行った。HAP埋入4週で新生骨形成が始まり、6週では成熟した骨梁形成が十分に認められた。これに同期して、アルカリフォスファターゼ染色陽性の骨芽細胞が多数認められた。また、骨新生に先立ち、TRAP陽性の多核細胞が2週頃から材料内に出現する。この細胞は貪食系細胞と思われ、材料吸収の働きを担っているとともに骨新生にも何らかの役割を果たしていると考えられる。造血系幹細胞由来で、新生血管を通り材料内に到達し、材料吸収能を獲得するとともに最終的には破骨細胞としての機能も獲得すると考えられた。今後は血管新生、骨芽細胞誘導、破骨細胞誘導に視点をおき、蛋白、RNAレベルでの解析を行う予定である。
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